融資に影響を与える4つの赤字

融資を受けようと考えると決算書一式の提出を求められます。
決算書一式とは、決算報告書に加えて

• 税務申告書
• 勘定科目内訳明細書
• 法人事業概況説明書
• 減価償却明細書
• 受信通知

を併せたものです。

銀行は、これらの資料を基にして融資の可否を検討していきます。
ここでは、これらの資料から読み取ることができる4つの赤字について確認していきましょう。

今回は「融資に影響を与える4つの赤字」というお話です。

融資に影響を与える4つの赤字

銀行は、業績の良い会社の融資をしたいと考えるものです。
逆に言えば、業績があまり良いとは言えない状態では、融資を受けれる可能性が低くなっていくのです。

以下の4つの赤字を確認しておきましょう。

• 損益計算書の赤字
• 貸借対照表の赤字
• 税金上の赤字
• 返済力の赤字

損益計算書の赤字

1つ目は、損益計算書の赤字です。
この赤字が1番分かりやすいでしょう。

一般的に2期連続で赤字が出ると、融資が受けにくくなると言われています。
赤字と言っても、どの部分で赤字になっているのか？ということにも注意が必要です。

損益計算書の利益は、上から「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「税引後当期純利益」の5つに区分されます。
下から上に行くにつれて、会社の本業での利益に大きく関わっていきます。

そのため、「営業利益」でマイナスの会社と「税引前当期純利益」でマイナスの会社では、違った印象を与えることも珍しくありません。

「営業利益」でマイナスであれば、本業がマイナスということになります。
ですが、「税引前当期純利益」がマイナスであれば、臨時的に発生したものが利益に影響を与えていることになります。

臨時的であれば、来季への影響は少ないかもしれないと考えることもできるでしょう。
しかし、本業でのマイナスであれば、来季への影響も考えられますので具体的な改善策が必要となってくるのです。

貸借対照表の赤字

2つ目は、貸借対照表の赤字です。
貸借対照表の赤字と言われても、ピンとくる方は少ないかもしれません。

貸借対照表の赤字とは、債務超過の状態を言います。
資産よりも負債が大きくなり、純資産がマイナスの状態を言います。

債務超過は、銀行が非常に気にするポイントです。
純資産の部は、会社の利益が蓄積されていく場所。
そこがマイナスということは、会社の利益が通算して赤字となっていることを意味するからです。

税金上の赤字

税金上の赤字は、欠損金を意味します。
法人税申告書の別表七（一）を見れば、10年分の欠損金を確認することができるので、
どの期で欠損金が発生しているのかが分かります。

税務申告書を見れば、10年でどのくらいの欠損金が出ているかを確認できるということを覚えておきましょう。

ここで注意したいのが欠損気の期限切れです。
欠損金は、翌期に繰り越しをして翌期の利益と相殺することができます。
ただ、欠損金には期限が設けられています。
平成30年4月1日以後に発生したものであれば10年、それより前に発生したものであれば9年とされています。

返済力の赤字

銀行が会社の返済力をみるうえで、簡易キャッシュフローを確認します。
簡易キャッシュフローは「税引後当期純利益」＋「減価償却費」で算出されます。

この簡易キャッシュフローが赤字であれば、会社の返済力を疑われてしまうのです。

簡易キャッシュフローは、融資の可否を検討する際に重要なポイントになります。
債務償還年数（借入金÷簡易キャッシュフロー）にも、この簡易キャッシュフローが影響してきますし…。

事前に計画を提出して相談することが大切

上記4つの赤字は、どれも重要なポイントになります。
どれも黒字であることが理想ですが、なかなか難しい場合もあります。

まず大切になってくるのが、なぜ赤字になったのかを分析することです。
原因が前向きな場合は、しっかりと説明することで理解してもらえるでしょう。
後ろ向きな原因がある場合は、来期以降の改善計画が非常に重要になってきます。

損益計算書の赤字が出ていれば、どのように利益を出していくのか？
欠損金が発生している場合は、何年で解消されるのか？

具体的な計画を提出して、納得していただくことが大切になってくるのです。

まとめ

今回は「融資に影響を与える4つの赤字」というお話でした。

• 損益計算書の赤字
• 貸借対照表の赤字
• 税金上の赤字
• 返済力の赤字

上記4つの赤字をしっかりと確認できるようにしておきましょう。

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