借入は資産と負債の『両建て』である

借入というと、負債が増えるイメージだけが先行しがちです。
ですが、借入は負債だけでなく、資産も同時に増えるものだということ。

このバランスを見誤ると、思わぬところで経営の体力を落としてしまう可能性があります。
今回は「借入は資産と負債の『両建て』である」というお話です。

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目次

借入を減らすことに注力するのが危険なわけ

「借入=借金」というイメージを持っている経営者の方は少なくありません。
自己資本比率を意識するあまり、借入をできるだけ減らしたいと考える方もいらっしゃいます。

ですが、借入を減らすことばかりに注力してしまうことで、いつの間にか手元資金まで減らしてしまっては本末転倒です。

借入を減らし過ぎることで、銀行との関係性にも影響を与えてしまう可能性もあります。
銀行との取引が減れば、関係性も自然と薄くなっていくもの。
そうなると、いざというときに「久しぶりなので」ということで、スムーズに借りられなくなるということも珍しくありません。

借入を減らすこと自体が悪いわけではありません。
ただ、それだけに注力してしまうと、本来守るべき手元資金や、銀行との関係性を犠牲にしてしまうことがあるのです。

「借入金」という負債だけでなく、「現預金」という資産を見る

借入金は、負債が増える一方で、同時に資産(現預金)も増える「両建て」のもの。
手元にそのおカネがあるのであれば、実質的には負債がないのと同じという考え方もできます。
むしろ、手元資金が増える分だけ、会社の体力は上がっていくものです。

大切なのは、借入金の額そのものではなく、借入金に対して手元資金がどれだけあるかということ。

例えば、年商1億2000万円、月商1000万円の会社で考えてみます。

A社は、手元資金1000万円、借入0円(月商の1か月分)。
B社は、手元資金3000万円、借入2000万円(月商の3か月分)。

一見、A社の方が無借金で健全に見えるかもしれません。
ですが、有事の際に耐えられる体力があるのは、手元資金の厚いB社であることは一目瞭然です。
かなり極端な例ですが、負債だけでなく、資産とのバランスを見ることが大切というイメージはしやすいかと。

手元のおカネは、返済力であり、会社にとっての体力そのもの。
無借金経営を目指すのではなく、「実質無借金経営」を目指す。
この視点を持てるかどうかで、借入との付き合い方は大きく変わってきます。

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有事の際に冷静に判断できるだけの手元資金を

有事と一言でいっても、その中身はさまざま。
コロナのような感染症の影響もあれば、中東情勢のような外部環境の変化もあります。
急激な売上の減少や、設備の故障といった、会社の内部で起こることもあるでしょう。
こういった有事に備えるためにも、手元資金を厚くしておくことには意味があります。

有事になってから銀行と関係をつくろうとしても、遅いということも…。
日頃から借入を通じて銀行と取引を続けておくことは、いざというときの備えの1つになります。
手元資金を厚くしておくのは、有事に耐えられる体力をつけておくためだけではありません。
「日頃から銀行との信頼関係を構築しておく」という意味でも大切な要素です。

そしてもう1つ、手元資金が厚いからこそ得られるものがあります。
それは、未来に目を向ける余裕です。
手元資金に不安があると、どうしても目の前のことばかりに気を取られてしまいます。
将来への投資や、次の一手を考える余裕が生まれにくくなってしまうもの。
逆に、手元資金が厚ければ、将来への投資など、先を見据えた判断がしやすくなります。

借入は、負債が増えると同時に、資産も増える「両建て」。
大切なのは、借入を減らすかどうかではなく、手元資金とのバランスをどうつくるかです。
そのための「借りられるときに借りておく」という発想も持っておきたいところ。
それが結果として、有事にも動じない経営、そして銀行との信頼関係にもつながっていきます。

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その後は、税理士業を。
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この記事を書いた人

廣瀬 充(ひろせ みつる)

自由に働くための土台づくりを、時間・習慣・おカネの視点から発信するひとり税理士。

独立後に実感したのは、
成果の差は才能よりも「日々の積み重ね」で決まるということ。
派手さはないが、確実に差がつく行動を重視。

おカネは会社の生命線。
利益が出ていても、手元におカネがなければ不安は消えない。
融資や資金繰りは、経営を守るための「守り」であり、挑戦するための「余白」。
困ってから借りるのではなく、余裕があるときに借りる考え方を大切にしている。

税理士/銀行融資診断士/元経理マン。

■著書
→中小企業経営者のための融資超入門(Kindle出版)。
→資金繰りを考えなくていい会社のつくり方(Kindle出版)。

大分県由布市在住。
1988年10月1日生まれ。
ブログ毎日更新。
メルマガ毎日更新。

妻と5人の子どもがいる、にぎやかな家庭。

詳しくはプロフィール

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