2026年5月25日から、「事業性融資の推進等に関する法律」が施行されます。
名前だけ見ると少し固い印象ですが、内容はシンプルです。
これまで以上に、「事業そのもの」を見て融資していこうというもの。
担保や保証、過去の数字だけではなく、
これからの事業をどう見ていくかが重視される流れになります。
この変化は、資金繰りにもそのまま影響してくるでしょう。
今回は「事業性融資におけるコミュニケーションの重要性」というお話です。

融資は過去の実績だけでは決まらない
これまでの融資は、過去の積み上げをどう評価するかが中心でした。
「どれだけ利益を出してきたか」、「どれだけ財務が安定しているか」といった実績が、判断の軸になっていたのです。
もちろん、「事業性融資の推進等に関する法律」が施行されても、
決算書や過去の実績は、引き続き重要であることに変わりはありません。
そのうえで、今後はそれだけでは足りなくなっていきます。
金融庁の「事業者と金融機関の信頼関係に基づく事業性融資に関する基本的な考え方(案)」からも分かるように、金融機関は、これから先もおカネを生み出し続けられるのか、つまり「返せるかどうか」を将来の動きから判断しようとしています。
ここで起きているのは、評価の基準が大きく変わったというよりも、
過去の実績をベースにしながら、将来の動きをどう捉えるかが重視されるようになってきたということ。
決算書やこれまでの実績を土台にしつつ、自社の状況やこれからの方針を共有していくことで、金融機関側の理解が深まり、将来的な資金繰りの選択肢にも影響してきます。
過去か未来かのどちらかではなく、「過去を土台にして、未来をどう伝えるか」が重要になってくるのです。
「話せない会社」は、判断が止まる!?
未来を伝えるために重要になってくるのが「経営者の言葉」。
金融機関が、会社の中に入り込んで実態を直接見ることは、なかなか難しいでしょう。
だからこそ、経営者がどのように事業を捉え、どう動こうとしているのかを、コミュニケーションを通じて理解しようとします。
このとき、完璧な資料があるかどうかではなく、重要なのは、自分の事業を自分の言葉で説明できるかどうかです。
「なぜこの商品で利益が出ているのか」
「どこに強みがあって、どこにリスクがあるのか」
「想定通りにいかなかったとき、どう立て直すのか」
こうした話がつながっていないと、金融機関側は「分からない」という判断をせざるを得ません。
そして、「分からない」は、そのまま「貸せない」につながっていく可能性もあります。
融資は「申込みの瞬間」で決まっているわけではない
そして、もう1つ見落とされがちな点。
それは「融資は申込みのタイミングだけで完結するものではない」ということ。
金融機関は、単発の情報だけで判断しているわけではありません。
これまでのやり取りや、日々のコミュニケーションの中で積み上がった理解をもとに、最終的な判断をしています。
例えば、
「売上が伸びている理由や、その背景」
「新しく始めた取組みがどこまで進んでいるのか」
「足元の資金繰りにどんな変化が出ているのか」
こういった情報は、決算書だけでは分かりません。
だからこそ、普段ほとんどやり取りがない状態で、必要になったときだけ資料を持ち込んでも、情報が不足してしまい、正確な審査をすることが難しくなります。
一方で、日頃から事業の状況や変化を共有している会社は、金融機関の中にある「理解の土台」が違います。
その結果、同じ内容を説明しても受け止め方も変わってくるでしょう。
融資は、申込みの場で急に評価されるものではなく、それまでの関係の延長線上で判断されるものです。
「融資を申し込むときだけ」「資料の提出を求められたときだけ」で終わらせるのはもったない。
まずは、現在の会社の財務状況の共有に加えて、ローカルベンチマークなどを活用して、事業性評価に積極的に協力をしていきたいものです。
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まとめ
制度が変わるときは、見られ方も変わります。
今回の流れは、「過去を整えること」を前提にしつつ、「未来をどう伝えるか」がより重要になる方向です。
そして、その土台となるのがコミュニケーション。
自社の状況やこれからの動きを共有していくことが、結果として将来の資金繰りを安定させることにつながります。
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